第3回:虫歯について

「歯」に関するいろいろな情報を皆様にお届けするコラムのページです。
第三回目は「虫歯について」です。

<虫歯について>

歯の構造と虫歯について
今回は、皆さんが一番悩まされる歯の痛み、虫歯とその治療方法についてご紹介します。
一概に虫歯といってもその進行具合によっていろいろな症状、治療法があり、
すべて同じ方法で治せるとは限りません。
1度で治療が終わってしまう場合から、
数ヶ月単位で治療期間を要する場合まで様々です。

<歯の構造と虫歯について>
虫歯のことについてお話しするのには、まずは歯の構造から少しお話しする必要があると思います。

C0→C1

皆さんは、歯はおもちゃのように単一の材料のみで
出来ていると思われているかもしれませんが、歯は骨や皮膚などと同じように、
れっきとした臓器の一部。絵のように複雑な構造をしています。
まず一番外側の白い部分は、エナメル質。
人体で一番固い部分で、ほぼ水晶と同じ固さです。
皆さんが通常外から見て歯の色だ、歯だ、と思うのはこの部分だと思います。
この厚みが2.0mm~2.5mm。
その固さのおかげで、歯を刺激から守ってくれたり、虫歯になるのを防御してくれています。
この部分が虫歯になってきても、ほぼ症状はなく、
ほんの少し色が変わって来たかなあと思う程度で、
なかなかこの段階で、ご自身で気が付く方はあまりいらっしゃいません。

C2

そのすぐ下には、象牙質という層があり、エナメル室より柔らかいため、
一旦虫歯がエナメル質を通って象牙質に達してしまうと、
一気に中で大きく進んでしまいます。
皆さんが、「あれ、歯がなんだかしみるなあ…」とか、
「甘いもので歯がしみるなあ…」と感じ始めるのは、
大体この部分まで虫歯が達した頃になります。
ただ、症状や人によっては、ほとんど痛みや違和感を感じないこともあり、
気が付くと一気に痛みも無く虫歯が進行していることもある時期です。

C3

象牙質の下には、歯髄があり、一般に歯の神経と呼ばれるものの層があります。
この中には、神経だけでなく、血管やリンパ管なども通っています。
ここまで虫歯が達してしまうと、根の先まである神経がすべて感染してしまい、
何もしなくてもズキズキした痛みが生じることが多くなります。
ただ、運がいいのか悪いのか、
まれに無症状のままここまで進行してしまう方も中にはいらっしゃいます。

C4

そのまま痛みを放置しておくと、いずれ中の神経は死んで腐って来て、
いずれ痛みは軽くなって来ます。
そうなるともう段々と歯ぐきの上に見えている歯の組織は形を失って行き、
残るのは歯ぐきに埋まった歯根と呼ばれる根っこのみになって来ます。
神経は歯の中だけでなく、根っこを通じて骨に繋がっているため、
細菌が骨の方にまで感染し、歯を支えていた骨の中にまで膿みを溜め始めて行きます。
そうして、それが進行すると次第に、再びズキズキした痛みが生じ、
歯ぐきの酷い腫れに悩まされることが出て来ます。
「痛くなくなったから放っておいたら、何ヶ月かしてまた急に痛くなって来た」、
「冷たいものや熱いものはしみないけど、何もしなくても痛い」といった症状のある方は、
既にこの状態になっていることがほとんどです。

<虫歯の治療法について>

1. C0→C1

症状やその深さによって変わりますが、一般的にC0(初期虫歯)やC1と呼ばれるものは主に、
(1)フッ素塗布やブラッシングによる経過観察
(2)少し削ってプラスチックの材料(CR)で詰める
という2種類の治療方法を取ることが多いです。痛みも少なく、ほぼ1回の治療で終わることがほとんどです。
また、治療に際して麻酔が必要ないこともあります。

2. C2

エナメル質を貫通して柔らかい象牙質に達した虫歯は、途端に一気に広がります。入り口は小さい穴、もしくは穴もあいていない様な状態でも、中ではごっそり空洞になっていることも多いです。また、何か食べていた拍子に、かろうじて残っていた固いエナメル質がかけてしまい、急にズドンと大きな穴が空いたように感じるのもこの頃の虫歯の特徴です。こうなってくると、神経に感染していることも多いため、治療方法は削って詰めたり埋めたりできるときと、神経を取らないといけなくなるときと、歯は運命の分かれ道に立っている状態です。

神経を取らなくてもいい場合は、虫歯の大きさや場所によって変わりますが、
(1)麻酔をして削ってプラスチックの材料でつめたり、型を取って小さい銀歯にしたりします。
基本的に、歯と歯の間の所を含むC2以上の虫歯は、保険治療だと銀歯になることが多いです。また、虫歯が全部取れて一旦つめたとしても、中の神経が既に少しでも感染してしまっていたり、これまで常に受けていた虫歯の細菌の刺激から回復できないと、治療が終わったのにしみるのがいつまでも続く、とか、治療後に痛みが生じておさまらない、といった症状を引き起こすこととなり、その場合は、
(2)神経を取って根の治療をすることも必要になってきます。この場合は、神経を取ると歯が弱くなってしまうため、部位によって変わりますが、基本的には被せものをする必要が出て来ます。

銀歯をかぶせることになると、最低でも2~3回の処置が必要になってきますし、神経を取ることになれば、最終的なものが入るまでには1ヶ月~数ヶ月単位の時間がかかることになってきます。

※3-Mix MP法について

他に、特別な治療方法として、最近よくテレビでよく耳にすることもあるかもしれませんが、3-Mix MP法という治療法があります。これは、歯髄ぎりぎりにまで虫歯が進んでいるC2の歯に対して、「虫歯はまだ少し残っているけど、大体柔らかい部分は取りきれた。これ以上削ると神経を取らざるを得ないし…」というような状況の時に、神経に近い部分に少し虫歯を残した状態で、患部に3-Mixという抗生剤の混ざったお薬を付け、上からセメントで蓋をして、お薬に虫歯を殺菌してもらおうという方法です。

ただこの場合、治療の正否は、(1)中の神経の生命力や細菌と戦う抵抗力と、(2)細菌とお薬との戦い、にかかっています。ですので、成功する場合もあれば、痛みが出て結局最後には神経を取らないといけなくなる場合と、両極端の可能性のある治療だと言えます。(1)の抵抗力の面から考えても、やはり再生能力の高い若年者やお子さんの生えたばかりの永久歯に対し、比較的効果が高い治療方法です。

神経を取ってしまうと、歯は経年的に弱って来て、神経が生きている歯に比べると予後も悪く、歯の寿命も短くなってしまいますから、チャレンジの意味としてこの治療方法を行う患者様も中にはいらっしゃいます。

テレビなどの放送をみて、どんな虫歯にも応用できると誤解されている患者様も多くいらっしゃいますが、この方法を適応するのは基本的に、大体C2→C3への移行期にある方で、(1)神経ぎりぎりの虫歯で、できるだけ神経を取りたくない方。(2)病気や妊娠などの理由で麻酔をした治療ができず、暫間的な治療が必要になる方、など、ある一定の条件でのみ行う治療だということをご理解下さい。また、必ずしも100%成功する可能性の保証された処置ではなく、痛みが今後出る可能性があることは、充分ご理解頂いた上で処置を行う必要があると思います。

実際の症例

3. C3

虫歯が神経にまで達してしまうと、一気に根の中にまで繋がっている神経全てに感染してしまうことが多いため、基本的にはほぼ麻酔をして神経を取り、最終的には被せものにする必要が出て来ます。奥歯に関しては、保険だと銀歯を被せる必要が出て来ます。治療には、その症状によりますが、最低でも1ヶ月~数ヶ月がかかります。また、痛みが無いまま無症状で神経にまで達した歯ほど、治療に際しての予後は悪く、なかなか症状が取れなかったり、治療期間が長期にわたってしまうことが多い傾向があります。

4. C4

神経を通り越し、さらに骨の中にまで細菌が侵入し、膿みを溜めてしまった状態になるので、治療に際しては、歯の状態や感染の状態にもよりますが、基本的には、(1)根の治療をして被せものにする、(2)抜歯をして、ブリッジまたは入れ歯にする、の2種類になります。顎の骨は柔らかく、細菌が侵入したらとても広がりやすいため、深部にまで感染を起こし、神経の治療期間はさらに長く、数ヶ月単位でかかる傾向があります。また、基本的に、歯ぐきの中にまで虫歯が及んでいる場合は、ほぼ抜歯になる可能性が高いです。

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